段々と人形遣いの存在が消えていく。
もう人形だけしか目に入らない。
微妙な妖艶な動きは人間には難しいのではと思わせる柔らかな舞。
人間国宝日本舞踊家 井上八千代さんの半生をご次男の慶次郎先生がお書きになった
本を拝読したことが有りますが、そこに浄瑠璃の人形に関する話が載っていました。
浄瑠璃をいつも観ていたわけでは無いのですが、長編で厚さがあった本のこの部分が
大変面白く心に残りました。
八千代さんのところに人形遣いの方々が訪れ人形の踊りの振り付けをして欲しいと
お頼みになったそうです。
数回ご指導されるうち、いつの間にか人形遣いの方々にご指導するのではなく
お人形さんにご指導されていたそうです。
井上八千代さんが人形に手はこのようにと直接ご指導されている光景の
何とも幽玄なこと。
八千代さんにももう三人のお姿は消えて無くなっていたんでしょうね。
私にも途中からお三方の存在は消えていました。
必死で登っていくお七。
この梯子を登っていくお七の情念の深さに圧倒されます。
涙が、、、、、。
又是非拝見したいものです。