まだ成宮君の事を引きずっています。
実は私は60歳の時にひっそりと生きていこうと決心していました。
若いときはドクターX の様にイケイケの人生を送っていました。
60になって、もっとのんびりと生きていきたい、戦いの人生を卒業したい、
注目も嫉妬も避けて通りたい。などなどを思っていました。
影を消して目立たず生きていきたいと。
成宮君の様なことはなかったのですが、それでもそう思ったんですね。
ある日寺田さんと出会っって 熱心に勧誘されましたが、私は目立つことも
頑張ることももうやめたいと思っていましたので、一緒にお仕事をするのは
できないと伝えました。
理想を語る寺田さんにも意外と冷めた目で見ていました。
私はもう的外れな嫉妬、妬みから遠ざかりたかったんです。
戦いはもう終わり余生を田舎で過ごそうと思っていました。
そこで着物講師を続けていこうと。
ですが1時間以上に渡るお電話を2回も頂き、それ以外にもギャラリーのパーテー
に呼ばれた、これもギャラリーのオーナーに何度も彼が是非会いたいと言っているから
と再三電話があり、 根負けしまして1時間遅れで行きました。
引退したかった私は考えました。やるからには覚悟がいる。
また私は戦いの渦に巻き込まれる。
仕事となるとインフルエンザでも這ってでも出る私が怖い。
経済的にも斜陽まっしぐらの世界へ行くには相当な覚悟がいる。
死ぬ思いで引き受けました。
着物の未来をと言われましたので。
やっぱり大変な世界でした。
ここまでこれたのは感謝してくれる生徒さんの存在でしょうね。
そしてこの私を信じ応援して助けてくださった方々、
人生までもが変わったという生徒さん。
この方々のお陰で続けられて来ました。
ただ、成宮君、長生きすれば、ええ!あの人が!ともっと気付きますよ。
驚きますよ。
そんなものではないですよ。
成宮君、人生ってそういうものです。
でもやっぱり引き受けて良かった。
生き甲斐ですね。今では。
この仕事は生き甲斐です。
成宮君、みんな待ってるよ。