カテゴリ:佐々木六戈の作品紹介( 19 )

佐々木六戈の歌    「忌から季へ」





楡の木の物語りせよイメカノ忌


                            佐々木六戈



金成マツ(1875~1961) ユーカラ伝承者。

アイヌ名はイメカヌまたはイメカノ。

姓の金成は一族の叔父カンナリキ(「いつもいらしゃる」の意)に因んだ。


養女知里幸恵の死後、意志を受け継ぎ100冊のノートにユーカラを書き綴る。

(ヘボン式ローマ字か)。


『アイヌ叙情詩ユーカラ集』として結実。


甥に知里真志保。



四月六日    イメカノ忌




六戈先生も知里幸恵氏や知里真志保氏と同じアイヌ人で同じ文学者です。








句歌詩帖  「草藏」    第86號     忌暦「忌から季へ」 より





弥生月から皐月月までの忌日を掲載中    

昨日は高村光太郎の忌日でした。

by kiyara888 | 2016-04-03 16:25 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

落椿 佐々木六戈




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        落椿までの五六歩吾はただ火の端麗を拾はむとして










by kiyara888 | 2016-02-04 09:48 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

GANIMEDE    61号に佐々木六戈先生の作品が掲載中



詩歌文埶誌  GANIMEDA  61号にも俳句の師、佐々木六戈先生の

短歌50首が掲載されています。

も と申しますのは、60号にも50首掲載されていたからです。

60号は「呪法としての其の馬」


其の馬の生きしの証よ聖骸布めく一枚の写真の上に

から始まるこの短歌。

その馬は誰でありしか半世紀前の私の後に写る


一台の秤に掛けて世界より重たき馬よ其の馬重し



雨の馬、睫毛の雫さうなのかさうなのだらうおまへもひとり

痛みなのか、苦しみなのか、とある日の鞭打つたびの弓の匂ひは


憶ひ出----、楡の株を挽きながらおまへは馬である他はなし


耕すは田返すことぞ息の緒のぶちきれしとき廃馬となりき


其の馬のゐない世界よわたくしは耳と耳の間に座る


短歌を横書きで掲載することに抵抗を感じていますので、縦書きにしたものを

写真で撮って掲載することにした方が良さそうです。


そんなことよりも何よりもこの詩はいかがでしたか?

アイヌ人として生まれアイヌ人として北海道で育って来られました

先生には馬は家族であり兄弟であり、、自然は畏れ多いものであって、

草も踏みつけにするものではなく、同じ目線で見るものだという

思いがおありになります。

先生の作品は馬への愛がひしひしと伝わる短歌 詩が結構あります。


耳と耳の間には 知里幸恵さんの「アイヌの神謡集」に出てくる言葉です

お読みいただけましたら、ご理解いただけると思います。




61号の短歌にも知らなければ理解できない歌がいくつもありますが、

またそれを調べていくのも楽しみです。

そこに新たな出会いがありますから。



「阿難までの私註」

たとふればカーリダーサーの雲を追ひ空の中までわれは行くべき
 メーガ・ドゥータ・メーガ・ドゥターと唱えたり雲の使ひにわれならなくに

カーリダーサとはインド古典文学の詩人だそうです。

彼のサンスクリット語で書かれた詩「雲の使者」

これをメーガドゥサーというのですが、この詩を是非読みたいと

図書館で探していただきましたが、国会図書館にしかなく、

それも持ち出し禁止になっていました。

それでもデジタル化されていますので、近場の図書館で読めるそうです。

丁寧にご説明いただきましたので、近々どちらにしろ図書館に行く必要が

ありますので読めそうです。

買えばいいのにとお思いでしょうが、かなりな価格です。


「阿難よ、ヴェーサーリーは楽しい」というフレーズは

「ブッダ最後の旅」に出てきます。

お釈迦様の言葉ですね。

こうやってこの50首の短歌から私は多くのことを知ることになります。

ただ、詩は頭で読むべきではないだろうと思っていますので、

ある程度知識を得ましたら、何度も読み返します。

心で詩を感じることができるように。


61号は今刊行されたばかりです。


雲の使者

ヒマラヤ山麓の故郷に残してきた最愛の妻へ、中部インドから故郷に向かって

流れる雲に音信を託します。

この雲の使者が妻のもとに達するまでの通過する山河や町を

美しく描写しているのだそうです。

by kiyara888 | 2014-08-05 13:18 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

詩    家のSnouwglobe    佐々木六戈


それは、ときどき

羽箒で払わなくてはならない

うっすらと埃を被る

天辺から

入ることができない

内部のために

羽箒は球面をなでる

あたかも、復古したギリシアの神

 の吐息のように

家のSnowgloe

懐かしい庭を通って

懐かしい人が住む

懐かしい窓へ

光を差し延べようと

けれども、ほんとうに

あなたはそこに居るのか

わたしは知りたくて

このglobeを手の上に反す

そして、北極に溜めた

雪を何度も

降らせるのだが

もうこれ以上

透明にはなりそうもない

内部の

あなたはそこに居るのか


                         句歌詩帖「草藏」60號より

by kiyara888 | 2011-12-10 07:34 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

詩      わたしたちは誰であったか     佐々木六戈




さながらに

倒れた

壜の口から漏れ出た水

倒れた瓶の中に

それでも平衡を保とうとして揺れる

残りの水は

ほとんど消え失せた身体のようだ

あるいは ほとんど身体を無くした魂のようだ

けれども

倒れた壜の中に

水はふたたび静止し

傷の無い皮膚の広がりで

完全な表面を取り戻す

わたしたちは誰であったか

わたしたちは真に誰でありえたか

問う者と

応える者と

溢れ出た水と

残りの水と

水の外に

ひろがる水と

先程まで一本の壜の形であったことの跡形もない


                                句歌詩帖 「草蔵」 第59號より

by kiyara888 | 2011-09-27 23:11 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

詩     いろしま、うつくしま      佐々木六戈

                     いろしま  うつくしま      

佐々木六戈





いろしま、うつくしま

とある葉月の、とある弥生の

子午線を揺さぶり、燃えあがる島のまぼろし

緯度を凹ませ、濡れた島のまぼろし

失われたのは家屋ではない

失われたのは写真ではない

失われたのは数ではない

人と人と

ひとり、ひとりが炎えあがり

ひとり、ひとりが濡れながら叫ぶ

わたし、わたしたちは半分にちぎれてしまった、と

どうしてなのか、何が起こったのか

火が消えかかり、波が引いて

さまよう犬と

犬の影のように

考える

ときに前方へ、犬は犬の影を追いかける

ときに後方へ、犬は犬の影を引き連れて

立ち止まるとき、犬は犬の影のなかに眠る

それでも水がほしいと

それでも火がほしいと

半分にちぎれたわたし、わたしたちはあなた、

 あなたたちに懇願するのか?

いろしま、うつくしま

炎えあがり、濡れながら

とある葉月の、とある弥生の

いろしま、うつくしま



                               句歌詩帖  「草蔵」 第58號 より

by kiyara888 | 2011-07-28 07:38 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

詩     佐々木六戈

   


教室の外へ                      
                            佐々木六戈


入学式と卒業式が

一所だった体育館から

生きている生徒と

死んでいる生徒が

がやがやと

教室に戻る

これから

学ばねばならない

生きているということ

死んでいるということ

一冊の教科書を見せ合いながら

生きている生徒が

先生に指されたら

読むのはひとりだが

大丈夫

もうひとりも読む

大勢が指されたら

もう大勢が読む

国語は嫌い

文法の幾通りにもさかのぼる時制の中で

友達が死んでしまったことに

気づきそうになる

算数は好き

かけ算の羽が生えて

一冊の教科書を見せ合う手が

増えていく

教室の外へ

by kiyara888 | 2011-06-02 00:03 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

詩  秋の麒麟草まで       佐々木六戈


                            秋の麒麟草まで


もういいんだ

背中の風景は

大量に負う雲の中に

わたしの目はないのだ


わたしを運ぶのは足

わたしの足

わたしではない

辛く支えたわたし自身を

跳ねて見せようか


途中

ずいぶん笑ったが

笑わせていたのかも知れない

自分自身を

前方へ

雲のない

未来へ

歩ませてやろう


足よ

揺らぎでるのはわたしだが

倒れてもいいんだ

一度ならず

風景と一所に

半世紀

知らず

歩む

秋の麒麟草まで



                                  句歌詩帖   草藏 より 

by kiyara888 | 2010-11-26 23:34 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

俳句      佐々木六戈     冬

俳句      佐々木六戈

爐に燒べて反故柔らかくひらきけり


雪しづく母刀自ひそと住まいけり


寒木の影が倒れてゐる疉


あしあとの浅きが雪の雀かな

by kiyara888 | 2010-11-09 20:36 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)

川が流れてはいなかったか    佐々木六戈




川が流れてはいなかったか
あたなには そう言わしめる風貌があり
手で洗っても落ちない人格がある
あなたが生まれた町の真ん中 あるいは外れには
川が流れていたはずだ
その川の辺で あなたは泣いた
襲撃された土地のように
何度も泣いた
その訳は知らない

水鳥の巣が流されることもあった
流される巣を追いかけることもあった
途中まで
川に平行して
走ることを止めた河原の
なぜ その石だけが光ったのか?
啓示のように

石が明かしたのだ あなたが誰であったかを
だから あなたは川を離れることが出来たのだ
水鳥を忘れ
その石を拾って
水鳥の巣は流れる
今も流れる
あなたのポケットの中で
泣いた
石と水鳥の卵が
孵ろうとしている

                句歌詩帖 草蔵 第53号より

by kiyara888 | 2010-10-10 00:07 | 佐々木六戈の作品紹介 | Comments(0)