27歳の年に父を突然亡くしました。
朝は元気でしたが、ある若者の不注意で夕方にはもういませんでした。
消えてしまった。
ドンドン家の中の物を捨てていますが、どうしても捨てることができないものがあります。
父が亡くなるちょっと前に買ってくれました最後の服
普段着ですから高価なものではないのですが、どうしても捨てることが出来ずに、
住処が変わりましても、ずっと持ち続けてきました。
27歳の時はもっと細身でしたので、当然入りません。
それでもやはりこのまま手放すことはできないですね。
ずっと箪笥の奥にしまったままにしていまして、ただ持っているといっただけなのですが。
で急に思い立ちました。
これをスカートに直そうと。
長めのスカートに。
着物ばかり着ていますので、スカートはどうしても足首までになります。
父が死んでもう四十年もたちますのに、いなくなった日のことは忘れることができません。
一度でいいから父がいた日に戻りたい。
あの夏の夕ぐれ時に。
蚊帳にスイカに蛍
庭に蛍が飛んでいました。
スカートにしてもう一度着ることにしましょう。
捨てることができないのなら。