局留めにしていました郵便が昨日到着しました。
その中にお仲間のお一人から
小説のコピーが届いていました。
さいたま文藝家協会で激励賞を受賞されたそうです。
内田百閒賞の一席になった方でもあります。
ペンネームは山本森平
久し振りの小説だったそうですが、彼の世界観がよく表現されていて
一気に読みました。
ある新聞に連載されました短編の小説も私の好きな世界で
これらも好きでした。
そういうこともあって、送っていただいたのでしょう。
題は「石」
彼は今山に入り石 水晶を発掘しています。
それは見事な水晶
数億年 数千年眠っていた水晶 化石を発掘するのが
彼の今の これからの生き方のようです。
ですから、この小説に出てくる石は石ころではありません。
数千年 数億年 眠っていた化石を少年の父が発見しそして
それは父の形見となってしまいます。
ある日少年は夢の中で石に語りかけられます。
海に戻してくれないかと。
ここで面白い描写があります。
聞いているうちに、日を浴びた医師がなんだか頑固おやじみたいに
見えてきた。
石の両側に丸っこい影が二つ落ちて、三人で内緒話でもしているようだ。
確かに揺れる日の影ってまるでささやいているような感じがありますね。
少年の夢の中で、主人公の思いの中で、石は擬人化されていますが、そこにある実際の石は擬人化
されていない石であるのですが、石に対しての思いの強い作者のなかでは
常に石は私と同等という印象を与えます。
海に戻すというふたりのミッションの中で
主人公は図らずも別居中の妻と息子を思いやって行きます。
意地を張るのは止めよう。
今の自分にとっての宝物はまだ手の届くところにあると
思い知らされて行きます。
さて、彼に感想を送るとしましょうか。
今日も山の中で一心に石を 水晶を探しているのでしょうか。
数億年のロマンを求めて。